気まぐれな午後

2/6
前へ
/6ページ
次へ
 それは、午後。  お昼休みに購買部へ行った俺は、見知った彼女がジュースの自販機の前に立ち尽くしている姿とかち合った。  眉根を寄せて難しい表情の眼鏡をかけた少女が、黙って自販機を見つめている姿は、お世辞にも可愛いものとはいえない。しかし、どこかコミカルで、こっちが声をかけてしまったのは仕方のないことだと思う。  「何、睨んでるの。横井(よこい)さん」  彼女は、やっと俺に気付いた。  「あれ、飯田(いいだ)君。飯田君もジュース買いにきたの?」
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

18人が本棚に入れています
本棚に追加