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「じゃあ、とりあえず、これは頂きます。後で返すから」
笑顔で言ってパタパタと走り去る彼女の後ろ姿に、軽く手を振って見送る。
「…何やってる、昌行(まさゆき)」
暗い棘のある声が背後から響いた。
「映子(えいこ)ちゃんとランデブー」
芳弘の平手が俺の後頭部目掛けて打ち下ろされるのを、かろうじて避けた。
「彼女がジュースを買えなくて困ってたから、助けただけ。だから」
右手を出して「ジュース代、返せ」
「何で俺が」
「俺が奢ったまんまでいい訳?お前としては」
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