その学園、凶悪につき

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「……どうかしたの神酒? 学園長いるんじゃないの? さっさと不意打ちでもして乗っ取ろうよ」 ぐるぐるグルグルと廻る。見たのに見てない。知ってるのに知らない。覚えているのに覚えてない……そんな矛盾したものが頭の中で廻る。 一緒にいたはずの蒼希は至って普通で、俺にそう言ってくるのに……俺は異常だった。 「蒼希……逃げよう。今じゃ不意打ちでも絶対に勝てない……。学園長は異常に異常すぎる」 「へ? ……な、なにが見えたのさ? なにもせずに逃げるなんて外道じゃないよ?」 蒼希は不思議そうに首を傾げる。 でも俺だってわかってる。外道にあるまじき行動だってことは。逃げるにしてもなにかしら苛つかせてこそ外道だ。 でも、でもな蒼希? 「俺達は今この状況で学園長にバレるべきじゃない。乗っ取る乗っ取らないじゃないんだ。バレる=ゲームオーバーなんだ」 学園長がなにをしたのかはもう覚えてない。何かしたのかってのすらわからない。ただ……学園長は危険すぎる。 学園長は……ただのロリじゃない。 蒼希も俺のただならぬ何かを感じ取ったのか、静かに首を縦に振った。 「……ありがとう。逃げる理由は後で話す。下に誰もいてくれるなよ……! ーー足下注意」 そして俺達は、床下のさらに下……つまり校舎内に落ちていった。 「やっと行きやがりましたですか……」 私はゆっくりと室内を歩き、自分の身長に似合わない大きくて豪華な社長が座るような椅子によじ登って腰をかける。 「……今回は教頭を消しちゃったみたいですね」 私は学園名簿に目を通し名が記入されてない教頭のとこを見る。 教頭ならなんの問題もねーですね。どの授業もしてねーですし。 ……しっかし……それにしてもです。 私はさらに下に下にと目を通していく。 「夢色 神酒。宿無 蒼希。……この2人が主人公になりやがりましたですか」 私はさっきまで床下にいた2人の名簿を見る。 あの2人には能力を見られたかもですが問題はねーですね。記憶には残らないだろーですし。 問題といえば……この能力の弱さ。 手助け、しなきゃならねーですかねぇ……。 ……はぁ。 「ま、いっか。今そんなに考えなくても。……フフフ。せいぜい私の手のひらの上で踊り狂えですよ♪」 私はぴょんと椅子から飛び降りそのままスタスタと私の部屋を後にした。
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