夢枕

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「あのさ…キラさんって彼女とかいるの?」 「へ?」間抜けな声を出す俺。 「最初は暗そうな、あんまり好きな感じではなかったんだけど、パソコン治してる姿はちょっとかっこよかったよ。彼女いる?」 マジか…カッコイイなんて今まで一度も言われた事ないぞ!おい! 「いや…今は…フリー」 (今は)じゃなく、生まれてこのかた、ずっとフリーなんだけど、そこはあえて言わなかった。 「そっか…家も近いし、ゆぅと付き合ったりとか…してみない?」 マジで…! いや、待て。ブサイク過ぎるだろ! 俺のタイプは美少女アイドルの、りこちゃんみたいな女の子だぞ! …でも、待てよ…いつまでも童貞でいるのは男の恥だ。 ここは、このブサイク女で未知の世界に足を踏み入れとくか…? しばらく考えて、俺は 「…実は…俺…も…ゆぅニャン、いいなーって…」 と、世界一優しい大嘘をついた。 「やっぱり?それ、感じてたよ」 ブサイクな上に勘違い女のゆぅニャンが、笑顔で言った。 こうして人生初の彼女が出来た。
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