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「意味不明って…俺はお前のその説明こそ意味不明なんだが」
「だから、長嶺は全てが意味不明なんだよ!なんて言い表して良いかもわからないぐらい」
なんて言い表して良いかもわからないぐらい意味不明な…女子高生?
全く。この男に説明を上手く伝える手段等無かろうとは思っていたが、まさかここまでとは…
しかし、意味不明って具体的にはどんな奴なんだろう。
確かに俺にも、意味不明に枠される人物像というのはある。―…電波系とかはまさしく俺にとっては理解し難い意味不明という言葉がお似合いな人物だ(本人達には失礼だが)。
しかし、それは説明がつく。
稲葉は、「なんて言い表して良いかもわからないぐらい意味不明」だと言った。…その説明自体がもう意味不明なんだが、俺には。
「それよりも」
、と稲葉はいきなり話を変えるように言った。
先ほど美里が使った話題転換技だ。
「ん?」
「さっき美里ちゃんが言っていた『総合部活戦争』ってなんなんだよ?」
「ん、ああ、あれはなんか、この学校の―…」
―…と、言った風に俺は、自分達なりに解釈した『総合部活戦争』の説明を身振り手振りで優しく説明した。
同意書の内容も、ルールも、総合部活戦争の優勝部に貰える一億という莫大な部費の事も。
流石に、最初は稲葉も戸惑ったようなリアクションをしていたが、徐々に落ち着き、結論としては『美里ちゃんの為なら』という答えに至ったようだった。
「―…で、チキン。お前はもうサイン、したのかよ?」
「まだしてない。それはあいつだって同じだよ。今は戦力集めの段階らしい。開催は明後日の朝みたいだからな」
「戦力…ねぇ。なぁ」
「何?」
「それは美里ちゃんが俺を戦力として見てくれているって事だよな?」
「…うん、まぁ、そう取っても良いんじゃない」
…どうでもいいよ。そんなの。
なんだかんだ言って、稲葉と仲良く(?)話しているうちに、いつの間にか、俺達は目的地に着いていたようだった。
そこは、2年5組。
「…教室?」
「そう。確か長嶺さんは大概、この教室にいる筈よ」
「…美里ちゃん、今って夏休みだよな?夏休みなのになんで帰宅部の長嶺が教室に…」
「・・・・・」
―…うん。
お前が言えた義理じゃないよな。
お前も夏休みで帰宅部なのに、登校してたよな?
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