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「失礼ね。嫌ってなんていないわ。ただ少し貴方の存在が不快なだけ」
成る程。
俺が今、この背中にまとわりついている稲葉に抱いている不快感と同様のものを彼女は俺に、感じているという訳か。
納得出来ねぇよ。
「よし、これで4人!軽音部も形になってきたわね!」
「決して形にはなってねぇよ」
バラバラだ。
寧ろ、な。
―…それよりも、俺からしてみれば、長嶺の意味不明も、所詮『電波系』という枠の中に収まるという事の方がなんとなく納得いかない。
まぁ十分『変』ではあるんだけど。
―…っていうか。
「いつまで引っ付いているんだ。お前は」
長嶺 愛。
彼女のフルネームらしい。
趣味は占星術・波動の修行・黒魔術。
趣味の項目を除けば、彼女はいわゆる美少女といわれる存在である。
自覚は無いようだが。
「最後は高木ね」
「高木 勇馬。彼は一度見た事があるわ」
「ふーん、そうなんだ」
「貴方には言っていないわ。引っ込んでなさい不細工」
「だ…誰が不細工だ、おい!!その台詞そっくりそのまま…返せねーよ!!」
「自滅じゃねーか」
ええい、長嶺に怯えるチキンは黙っていろ!
「高木勇馬…彼は何か異質な波動を秘めていたわ。例えるなら、ペガサスのいない湖なのだけれど、そこにいるような何とも言えない感覚」
「おお、何とも言えない例えだ」
この世界に、その例えの真意が分かる奴はいるのか?
断言する。
いない。
例えが例えでは無く余計ややこしくしているだけだ。
蛇足というやつだろう。
「成る程ね。それなら余計部員に欲しい所だわ」
「わかりもしていないのにわかった風な口を聞くな!」
「わかるわよ。要するにペガサスのような聖なる存在は例えそこに居なくても存在しているような…感じがあるのよ」
あるのよって…お前そのペガサスがいない湖でその何とも言えない感覚を味わった経験者!?
「圧倒的な存在感があるって事」
「ああ、そういわれればわかりやすいな」
「流石美里。私はそれが言いたかった…」
「そんぐらいちゃんと言えるようにならないとお前将来苦労するぞ」
間違いなくな。
「で、その高木ペガサスは何処にいるんだ?」
「高木…ペガサス?何を意味不明な事を言っているの貴方」
「意味不明なんてお前には言われたくなかったよ!!」
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