15人が本棚に入れています
本棚に追加
―…とにかく、だ。
その高木 勇馬。
異質な波動を放っている少年を探そう…というより、どうせ高木の居る場所も、把握済みなんだろう?美里。
「そうね。付いてきなさい」
美里は当然の如く、高木の居場所もやはり把握していた。
これはもうなんていうか、人脈とか交友関係なんて関係無いだろう。
美里に俺と稲葉、長嶺は何も考えずに、美里の後を忠実に付いていった。
中庭を抜け、踊り場を抜け、
そして、辿り着いたのだった。
―…家庭科室。
「…おい、美里よ」
「何?」
「高木はここにいるのか?」
「多分ね」
…高木って帰宅部の筈だろう?
それなのになんで、こいつも学校に素直に登校してきているんだよ!?
美里が勢い良く扉を開けると、やはり鍵はかかっておらず、すんなりと開いた。
「…高木」
家庭科室の中には、一番前に調理の手順を説明する為のスクリーンが設置されていて、6人ぐらいが広々と座れる机が8台、ある。
その一番前の席に、高木らしき人物はいた。
なんだろう、見た感じ真面目そうな雰囲気だけど、クラスで委員長とかやってそうな感じの。
「…天月先輩?」
「よ、久しぶり」
高木は手元でゲームをピコピコと弄りながら、こちらを向いた。
―…なんだ、案外端正な顔してるじゃないか。
爽やかメガネって感じ。
「なんですか、そんなにゴキブリのようにゾロゾロと」
「なんだとコラァ!!」
「落ち着きなさい。稲葉君」
「あっ、うん」
「貴方の背中には死神が見えるわ…死ね」
「黙りなさい。愛ちゃん」
「わかったわ」
「・・・・・」
…ちょっとお前ら、素直過ぎやしないか?
美里に言われれば、そんなに早く言うこと聞けるのな。
最初のコメントを投稿しよう!