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「高木。アンタの頭、私達軽音部に貸してくれない?」
「軽音部?」
「そうよ。私達は軽音部(仮)よ」
「おい、美里ちゃん!非公式の部だってバレるから(仮)は消しておいた方が…」
「お前がバラしとる!!」
「…ったく、馬鹿みたいにボケばっか言ってんじゃないわよ。私達は公式の軽音部でしょ」
「・・・・・」
…こいつ、軽音部をあくまで公式だと言い張るつもりか…
一円たりとも部費が出ていない癖に。
それに原因はお前が軽音部(仮)とか言うからだろうが。
「ふぅん?そうなんですか。面白そうな部ですね。ある意味(笑)」
「美里、断言してやる!このメガネは軽音部(仮)の(仮)を忘れていないぞ!!」
だから()を同じ要領で使われたんだ!
くそ、後輩にまでこの仕打ち…
「…まぁ、他ならぬ天月先輩のお頼みですからね。入部しますよ」
「ありがたいわ」
ただし、と高木は言った。
「条件があります」
「…この野郎、後輩の分際で条件だぁ…?美里ちゃんから頼まれたら常識的には一発はいOKだろうが!?」
「お前に常識的なんて言葉を使う価値ねぇよ!?」
寧ろ非常識だろ。
そんな常識はお前にだけ有効なんだ。
美里にそれぐらい人望があるというのも心得てはいるが。
とにかく、高木君。お前の言うその条件を聞こうじゃないか。
「そうですね…土下座して下さい」
「・・・・・は?」
土下座…?
今こいつ、先輩である俺らに向かって、土下座して下さいって言わなかったか!?
「言葉の通りです。さぁ、するんですか?しないんですか?」
「…このガキ」
「落ち着け、稲葉」
ここでお前が手をあげて、かつてのように停学になったらどうするんだ。
お前は頭は弱いが腕っぷしだけなら体育会系にも劣らない貴重な武闘派なんだ。
「…そう言うなら…まぁ、しない事もないわよ」
「み…美里?正気か?」
「だって土下座で高木が入部してくれるなら安いもんでしょ?」
「いや、それが安いもんなのかどうかは俺には生憎わからない」
ある意味有名人ではあるが、詳しく知らない俺から見たら、只のオタクにしか悪いけど見えない!
正直、こいつを入部させて役に立つという保証は俺には出来ないよ、稲葉とは違って。
「…美里がするって言うなら…しろ」
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