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「・・・・・」
美里は土下座をする所か、動かない。
動こうとする気配すら無く、堂々と腕を組んで立っている。
「…美里?」
「何?」
「…土下座するんじゃなかったか?」
「え?アンタ達あたしに土下座させるつもりだったの!?」
「え?お前俺達に土下座させるつもりだったの!?」
「当たり前じゃない」
「当たり前じゃない!!」
当たり前ってお前、俺達を…いや、俺を土下座要員とでも思っていたのか!?
言ってやる。
断固しない!
「この二人は知らんがな…美里。俺は断固しないぞ」
俺は。
しないぞ。
絶対の絶対の絶対に、しない!!
大体、そんな事、高木君の為にならないぞ。
高校生の内に上下関係というのを教えるのが、先輩である俺の役目だ。
「…美里が言うなら、私はしよう」
「美里ちゃんが言うなら、俺もしよう…!」
「流石二人共!大好き!!」
「「いや、大好きなんて…それ程でも…ね?」」
稲葉と長嶺は俺をじっと見て、同意を求めてくる。
「マジかお前ら!?」
まぁ、するってんならさっさとしろよ、もう。
「あ、ちなみに先輩方、土下座する際にはこの猫耳を付けてやって下さいね」
かなり無理な注文が来た…!!
やめろ、高木。
それ以上は、やめてくれ!
長嶺に猫耳は…顔が可愛いからとってもキュートになるだろう!寧ろ見てみたいとも思うが、もう片方は…
稲
葉
の
猫
耳
は…
―…というのは、流石に考え過ぎか。
あの稲葉でも、流石に猫耳までは装着すまい。
実際、今、稲葉はもう怒り狂う鬼のような顔で、その可愛いらしい猫耳とにらめっこしているんだ。そんな訳な…
「そ、そ…装着ぅぅぅぅ!!!」
「うぉおおぉぉい!!」
…こ、こいつ、やりやがった!
やらかしやがった! それはもうやっちゃいけない事だろ、稲葉…
「い…稲葉…お、お前にプライドは無いのか…?」
「…ふ、チキンが何を言っている?俺から言わせればこんなもんを付ける勇気も無いお前の方がよっぽど格好悪いぜ…!」
「お前の格好悪い…いや、格好キモさには悪いが勝てない!!」
勝てる自信が無い。 勝てる訳が無い。
俺みたいな一般人には、そこまでにはなれない。
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