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「はははは馬鹿だ!お前馬鹿だ!」
頭に猫耳を俺と同様に装着している稲葉が猫耳を装着している俺を指をさして笑いやがった。
お前、人の事馬鹿って言えないだろ、馬鹿。
そんな馬鹿の稲葉の隣にいる長嶺とちょっと目が合ったが、直ぐに逸らされた。 ―…しかし、長嶺は心なしか顔が赤く見えなくも無いし、何か口ごもっているように見えたから、俺は長嶺に声をかけた。
すると長嶺は相変わらず俺とは目を合わせずに俯きながら、
「…に…似合ってるわ…」
っと小さく言った。
「…ごめん、長嶺。誉めてくれたんだろうけど、全然嬉しくない」
猫耳が似合ってるなんてなぁ…
自慢にもならない。これが、長嶺から頂く最初で最後の誉め言葉のような気がした。
「―…猫耳お披露目はもういいでしょ。次は土下座よ。さぁ、しなさい!」
お前は良いな。
猫耳も土下座もしなくてさ。
俺は、お前の猫耳姿も是非見たいものなんだが。
高木君が軽音部に入部した暁には、是非見せて戴こう。
「土下座…ねぇ」
「…チキン。お前が一番最初にやれ」
「はぁ!?なんでそうなる?」
「チキンだからだ」
「お前やっぱ説得力とかねぇな!そんな説明で、はいそうですかってなるかよ!?」
「なら…な…長嶺…さん。一番最初にやられますか?」
ちなみに、稲葉。
お前は俺よりもチキンだ。
いつまでも長嶺にびびってんなよ。
「…どうだ、長嶺。一番最初に是非」
「…ブビラバンディクー」
「そうか。ブビラバン…って、何て!?」
ブ…ブビ、ブビラバンディクー!?
何処の言葉だ、それは!!
やっぱり、長嶺…
ある意味、一番怖いのはこいつかも。
猫耳姿の長嶺の可愛さは異様だけど、こういう所も確かに異様だ。
「…長嶺、日本語で頼むよ」
「日本語で?」
「うん」
「日本語ね…苦手なのだけれど」
―…確かに、そうだろうなぁ。
お前、日本語苦手そうだったもん。
日本語というより、コミュニケーション能力の低さからくるものが一番の原因だろう。
なんか他者を寄せ付けない特殊な雰囲気があるからな…
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