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「まぁ、そりゃ、噂だろうな。部費が一億なんて…なぁ?」
「だな」
ははははは、なんて二人でそんなおいしい話がある訳が無いと決めつけて、笑っていたが、その『総合部活』とやらは、嘘でも噂でもなく実在する行事だったのだ。
それが、公となったのは8月23日。
いつものように何をする訳でも無いが、一応活動という事で自宅から自転車10分の、月林高等学校に俺は来ていた。
今日は珍しく門で、美里に会ったから、美里に声をかけて、二人で部室(?)に向かっていた。
「…昨日夢を見たのよね」
「へぇ。どんな」
「え、言っても良いの?明人の精神に害をきたす可能性があるわよ」
「じゃあいい。寧ろお前の中だけに仕舞っておけ」
「うん…そうよね。そうする」
そんな感じでいつも通りどうでも良い話をしていると、学校内にある広場にいつもは…いや、今まで見た事の無いような人だかりが出来ていた。
「…なんだありゃ」
人だかりは、柔道着を着た柔道部やユニフォームの野球部、サッカー部など、色々な部活の奴らが集まって、その人だかりを成しているようだった。
その人だかりの中に、昨日のように首にタオルを掛けて汗だくのユニフォームに身を包む椎名の姿が見えたから、俺は椎名に駆け寄った。
椎名もこっちに気付くと、人だかりを必至に掻い潜り抜けてきて、
「明人!昨日話した総合部活戦争ってあったじゃん?」
「ん?あ…あぁ」
「あれ、本当に開催されるらしいんだよ」
「え」
部費一億のイベントが、開催される。
どうやら人だかりの中心には、それを知らせる告知があり、その紙の下にある欄に部活名と参加メンバーを記入する事で参加資格を得られるらしく、その順番待ちという訳らしい。
「そんな総合部活戦争って…何して闘うんだよ」
「それは分からねーけど」
「ちょっと明人、一体なんなのよ?この人だかりは」
「あ、天月さん」
「あら、椎名君。こんにちは」
「こんにちは。どう?軽音部は上手くいってる?」
「ぼちぼちよ」
「お前らそんな会話後でしろよ!!」
とりあえず、その告知の紙を、確認しなければ―…
俺は、人だかりに椎名を連れて入った。 美里には、危ないからこの人だかりの外で待機しているようにと、言って。
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