As December

ともだち

１

僕の友だちには、頭のない奴がいる。
といっても首から上に
何もないわけではない。

彼の、本来なら頭がある部分には、
精巧に作られた
“人工の頭”が乗っかっているのだ。

彼の名前はヒサオ。

出会いはこの高校に入ってから。
僕らは同じクラスになり、
あいさつを交わした。

ずっと笑った表情のまま、
口も動かさず喋るので、
はじめは変わった奴だなあ
と思っていた。

自己紹介の時、彼は、

「僕には、生まれつき頭がありません。
でもよろしく。」

そんなことを言った。

クラスメイトは特に気にせず、
ほかの生徒にもそうするように、
拍手をした。

僕も特に何も気にしなかった。