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『はい、鏡。でも何に使うの?』
『ん、ちょっとな』
シンプルなピンク色の手鏡だった。
プリクラが二、三枚張られていたが、それらは装飾ではなく、落としてしまった際に、確実に手元に戻ってくるように名前を書いておく、と同じ機能のものなのだろう。
自分の顔をチェックする。
うん、別に難しそうな顔はしてないな。
鏡の中の男は、どちらかというと物憂げな表情をしていた。
『はいよ。でも白夜も手鏡なんて持ってるんだなあ…』
小さな頃から知っているだけに、感慨深いものが込み上げて来る。
化粧をしていることは少なくとも分かるが、それでも平均(主にクラスの女子)のそれと比べると、白夜の化粧はずっと薄い。
『そりゃー持ってるよ。女の子の嗜みってやつ』
『へえ。照魔鏡! とか叫んで攻撃跳ね返すの?』
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