プロローグ

2/8

349人が本棚に入れています
本棚に追加
/85ページ
死ね。消えろ。キモイ。浮気乙。 机に書いてある文字を見て、僕は目の前が一瞬白くなった。 周りのクラスメートが、机の前で呆然と立ち尽くす僕の様子を、まるで罠にかかったネズミでも見るような、そんな好奇の視線で眺めていた。 罠にかかったネズミは、それでも楽だろう。 じっと待っていれば、あとはただ静かに死ぬだけなのだから。 僕だって、もちろんそう出来るならしたかった。すぐにでもそうしたい。 窓に体当たりでもして、ガラスを突き破って飛び降りでもすれば、クスクスと静かに教室中に響く、しのび笑い声の合唱も、少しは悲鳴に変わるかもしれない。 しかし、今はそうしてしまう訳にはいかなかった。 だってまだ守らなくちゃいけないものが、守らなくちゃいけない二人の女の子がいるんだから。 混乱する頭で、僕は必死に考え続けた。 どうして? どうして? どうして!? 分からない。僕はただ、彼女達を助けようとしただけだ。 真実も、有実も大好きだったから、助けようとしただけだ!
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

349人が本棚に入れています
本棚に追加