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死ね。消えろ。キモイ。浮気乙。
机に書いてある文字を見て、僕は目の前が一瞬白くなった。
周りのクラスメートが、机の前で呆然と立ち尽くす僕の様子を、まるで罠にかかったネズミでも見るような、そんな好奇の視線で眺めていた。
罠にかかったネズミは、それでも楽だろう。
じっと待っていれば、あとはただ静かに死ぬだけなのだから。
僕だって、もちろんそう出来るならしたかった。すぐにでもそうしたい。
窓に体当たりでもして、ガラスを突き破って飛び降りでもすれば、クスクスと静かに教室中に響く、しのび笑い声の合唱も、少しは悲鳴に変わるかもしれない。
しかし、今はそうしてしまう訳にはいかなかった。
だってまだ守らなくちゃいけないものが、守らなくちゃいけない二人の女の子がいるんだから。
混乱する頭で、僕は必死に考え続けた。
どうして? どうして? どうして!?
分からない。僕はただ、彼女達を助けようとしただけだ。
真実も、有実も大好きだったから、助けようとしただけだ!
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