プロローグ(現実世界)

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無情にも無機質なデジタル時計は、既に日付が変わっていることを指し示している。 そろそろ眠らなきゃ…。 俺はゲーム内容をセーブし、そのままPCの電源を落とした。 寝ていないのに夢から覚めたような、やるせない気分になる。 ひとつ伸びをしてから、布団に潜り込んだ。 ひやりと冷たい感触が、少しだけ心地よい。 学校に登校することを考えると、さらに気分が沈む。 別に死に直結するような問題がある訳じゃない。(極論だが) テストが控えている訳でもない。 ただ、今までに幾百と繰り返した日常を、繰り返すんだ。 真新しい事があるわけでもない。 能面みたいな笑顔の仮面を貼り付けて、愛想笑いで砂漠のように無味乾燥な場所を歩いていれば、感覚なんて麻痺しない方がおかしい。
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