第一章

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起き上がって、壁際に視線を移す。女の子が飛びっきりの笑顔を俺に向けていた。 月月火水木金金、日日土日土日日。 雨だろうが嵐だろうが、365日年中無休で、彼女は永遠に笑顔を見せてくれる。 なんとまあ健気で甲斐甲斐しい。ただ、こないだ寝ぼけて少し破っちまったんだよな。 泣きそうになった。 「……はよざいます」 頭を下げた。今日も現実に立ち向かうための、そんな勇気を下さい的な意味で。 気持ち悪いとか言うなよ。 別におかしい事じゃねえ。 キリスト教徒は十字架に向かって懺悔だのなんだのするだろう。 仏教徒は観音像に向かって念仏やら般若心経やら唱えるだろう。 紙に描かれた美少女の絵に向かって、挨拶したって良いじゃないか。 ここは日本。 悪魔を崇拝しようが、ドーン教を信仰しようが許される国だからな。
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