第一章

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で、軽く自己紹介しながら、歩くか。 「俺の名前ははざ…」 「でさー…俺の家今日誰も居ないんだよねー」 「うそー! 私の家も誰も居ないよー!」 「えー!! 俺んとこ親戚の家も誰も居ないんだよねー!」 「うそー!! 私ん家、犬小屋にも誰も居ないよー!!」 後ろから何やら会話が聞こえてくる。男と女。当たり前。世界には男と女しかいないもんね。 穴と棒しかないもんね。棒が穴に出会ったら、特攻するしかないよね。 聞き耳を立てるに、そういう会話らしい。 はいはい、嫉妬嫉妬。 はいはい、憎悪憎悪。 「えー!! じゃあここは犬小屋で行っておく?」 「うん…私よしつぐ君とだったら豚小屋でも良いよお」 自分を追い越していく二つの人影を、俺は内心びくびくしながら見送る。 今ほど、かめはめ波が撃ちたいと思った時は無かった。
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