第一章

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「糸…じゃないすよね…髪の毛?」 「俺は慌てて髪の毛を投げ捨てた」 「いや、声に出してますから。クール装ってどんだけ動揺してんすか」 「俺美化委員なんだよ。ゴミは拾わないとな。美しい遊歩道に髪の毛なんて気持ち悪いだろ?」 「さすが先輩! けどそれ拾ったものまた投げ捨ててますけど?」 「俺は無言で髪の毛を拾い上げた」 「すげー! 動揺してると見せかけてこういう誤魔化し方もあるんですね!」  下から顔を覘き込まれる。 こいつは身長が低いため、常に俺を上目遣いで見てくるのだ。 一度だけ可愛いかもと思ってしまった。真冬の…とても澄んだ青空の日だったんだ。
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