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「先輩騙されちゃいけませんよ。その髪、一見するとサラサラストレートのようですが…」
「いや、何も言ってないけど」
「それは偽装です。変な液体を使って蕎麦の如く伸ばして伸ばして、ストレートにした神を冒涜した髪です」
「聞けよ。でも、ああ…縮毛矯正ってやつ?」
俺は髪の毛を太陽に透かしてみた。
茶色の髪の毛は、カラメルみたいに甘そうな色をしている。
「そう、淑女矯正です。巷に溢れるストレート女性の4割はそうだと思いますよ。怖いですよね」
「俺にはお前の良い間違った言葉の意味の方が怖いけど…」
「んで、その髪の毛どうするんですか?」
「いや…巻いたりして遊ぶ…」
「なるほど! 早く言って下さいよ! そんなもんいくらでも俺の天然ストレート上げるのに!」
他愛無い会話(三割)。くだらないやり取り(三割)。残りは暴走する楠木を俺が必死に鎮火している。
楠木は出会った頃から変わらない。
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