第一章

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やべ。少し感動した。けど男なんだよこいつは。 俺は一度天を仰いだ。鳥の糞が落ちて来た。回避した。 「一応礼を言っておくよ。さんきゅ」 「おお! 先輩! クールに避けて、そして何事もなかったかのようにクールにお礼を言う先輩はカッコイイですが、喰らってます! 残り香喰らってますよ!」 鳥の糞の付いた鞄を投げ捨てた。 「ふけるわ。じゃあの」 俺は踵を返す。 「うおおおお!! 先輩それクール超えてますよ! お供したいですけど、俺も出席日数やばいからなあ…。後でメールしますね!」 片手を上げてその声に答えた。まるで、別れ際のカップルだ。 ついて来るな、という意味で上げた片腕をひらひらと振ったが、楠木にその意図が伝わったかどうかは分からない。 だが、それ以上奴の声が追いかけて来ることはなかった。 振り返らずに、俺は歩いていく。 俺が学校をサボろうが、小鳥は歌い、花は咲き、地球は廻る。
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