349人が本棚に入れています
本棚に追加
/85ページ
少しだけ、悪い夢を見ていた気がする。それは昔の、中学校での記憶だ。
あの日から、三年が過ぎていて、その間に、俺はまったくと言っていいほど変わってしまっていた。
特定の友人も持たず、もちろん恋人も居ない。
一人で、ずっと一人で過ごしていた。
たまに孤独を感じることはあったけれど、それを埋めてくれたのは、美少女ゲームだ。
作り物の世界の中には、きらきらとした希望だけがあった。
それでいい。
それだけでいい。
今日も俺は、新作のゲームをひとつ買い込んできた。
『Rainbow Girl』
俺がこれから溶けていく、新しい世界の名前だった。
最初のコメントを投稿しよう!