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僕は見たんだ。
みんなが見てないだけだ。
「あの女たちは殺人鬼だ」
「殺しを楽しむ快楽殺人者に違いない」
なんていうことを口々に言う。
確かに今まで犠牲になった人達の殺害方法は様々だった。
水攻めや火あぶりによる溺死や焼死。
もちろん斬殺もある。
時には体を数十等分にも斬り刻むことも。
それでも僕は彼女たちが好きでやってる様には思えない。
そう語ると友人は一笑してから言った。
「あいつら暗くもないのにローソク立てて殺(や)ることだってあるんだぜ。趣味だよ。いつか俺らだってその趣味の犠牲になるんだ」
「……そうかもな」
『いつか』が来る前に僕の疑問は晴れるのだろうか?
しかし…
その『いつか』はすぐに訪れた。
皮肉にも今回は僕と友人の2人が選ばれ、処刑台に運ばれた。
「どうやら今日は切断のみで殺るみたいだな」
側にある大きな刃物を目にして友人はそう言った。
その刃(やいば)は彼女の手により何度も僕に振り下ろされた。
徐々に薄れていく意識の中、何か冷たいものが体に触れた。
「あっ…」
隣で友人が小さく声をあげた。
見上げると刃を振るう彼女の瞳から涙の雫(しずく)が頬を伝って落ちてきた。
ぽたっ
雫は僕の体に当たり飛び散った。
「な、そうだろ?」
それは声にならず僕の意識は途絶えた。
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