始まりの朝

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「ふわぁ~~~、まだねみぃ………」 目元に浮かんだ涙を拭ってから、部屋を見渡してみる。 うん、相変わらず狭い。 17歳には十分な広さの1DK。それが、“俺”の住まいだ。 「そろそろ用意すっかな」 大きく伸びをしながら呟いた後、身支度を始める。 ☆★☆★☆★☆★☆★ ガチャ 身支度を整え終わった俺は、部屋を出た。 「いい天気だ。風が気持ちいいな」 手を広げ、日光と風を全身に浴びていると。 ガチャ 「よぉ、暮羽か。」 隣の部屋から出て来た頭に鉢巻きを巻いた長身の男が、俺に話し掛けてきた。 そう、俺の名前は暮羽。《月光 暮羽【げっこう くれば】》だ。 「ん、桃太郎か。おはよう」 そして、俺に話し掛けてきたこいつが。《岡 桃太郎【おか ももたろう】》同じギルドに所属している俺の同僚だ。 俺達は、ギルドが管理している《魔力持ち》の為のアパートで暮らしている。 《魔力持ち》とは普通の人は持たない《魔力》を宿した人間のことで、俺もその一人なんだ。 「じゃあ、行くか」 そう言い桃太郎が歩き出す。
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