第1章 春色の手紙

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「さっきの事も、気にするな……と、言いたいが、やっぱ、それじゃだめだろう」 「すみません……」 「悔いのない仕事をした方がいいと思うんだ」 「……はい」 彼は珈琲をまずそうに飲み干すと、私の肩に手を乗せ軽くぽんぽんとして部屋を出て行った。 休憩室には私だけになった。 足元まで遮る物のない全面の窓ガラスからは、新宿の街並みが見下ろせる。 夕方の黄ばんだ光がその街並みを輝かせている。 でも、地上27階のこのオフィスからの眺めも、今日が金曜日だということも、私には慰めにならなかった。
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