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小さなミニチュアの町を見ていると、私の視界にマスターが入ってきた。
ちょうど後ろになった木の緑とマスターの白シャツとのコントラストに一瞬気を取られた。
「いらっしゃいませ、何にします?」
彼は、そんな私の思考を邪魔しないような流れる仕草で、私の前に縦長のメニューを差し出した。
その袖はきちんとボタンが留められていたが、クリップ留めのアームベルトで邪魔にならないようにしていた。
「じゃあ、ブレンドで」
私はその腕からマスターの顔に視線を移しながら言った。
「はい」
私からメニューを受け取ると、彼はまた細い眼でニコッとして戻って行った。
私はマスターを見送ると、また景色を眺めていた。
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