第1章 10月

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「ありがとうございます。500円です」 「ごちそうさまでした」 私は1000円札を出した。 お釣りを受け取る時、彼の温かい手が触れた。 「またどうぞ」 マスターの言葉に、私は軽い戸惑いを隠して笑顔で答えた。 カランというベルの音にも見送られた私は、一旦その店を見つめた。 「カフェ見晴らし台……か」 こんな店があるとは思わなかった。 ふと、窓辺からおふくさんがこっちをにこやかに見ているのに気が付いた。 私が軽く頭を下げると、おふくさんも頭を下げた。 私は思わず笑みを浮かべた後、そのまま来た道を戻った。 元々、上の公園に行くつもりだったし。
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