第1章 10月

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5段の階段を上り、軽くギーッと音のする鉄の門を開けて、4歩で焦げ茶色のドアがある。 時計を見ると、まだ17時前だった。 幅広のドアノブを引くと、いつものように鍵は掛かっていない。 「ただいま~」 少しして、まっすぐ行った廊下奥のドアの向こうから「お帰り~」という母の声が聞こえた。 靴の向きを軽く直して玄関を上がると、その居間のドアを開けた。 左側向かいの二人掛けソファに母が座っていて、どうやら韓流ドラマを見ているようだ。 右側の台所は明かりが消されていて、夕食の準備はまだ何もされていない。 母の向かい側の二人掛けソファの真ん中に父が座って、囲碁の本を読みながらテーブルの上の碁盤に石を打っていた。 テレビは手前の角に置いてあって、父の位置からは見にくいが、父はほとんど見ないから問題がない。 私は母の右隣、庭側に座るのが定位置。 弟は台所側の一人掛けに座る。
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