第1章 10月

30/73
前へ
/760ページ
次へ
2階に上がって目の前の廊下の突き当たりは幸多の部屋だ。 幸多は帰りが遅い。 しかも、朝は私より早く家を出る。 だから、会社をクビになった私は明日からのんびり生活だけど、幸多は気が付かないかもしれない。 私の部屋は右側の突き当たり。 部屋に入ると、私の好きな香りが出迎えてくれた。 正面の机の上にアロマプレートを置いていて、今朝はゼラニウムを垂らしていた。 セラミック製のプレートに1滴だけだけど、帰って来てもまだ香りが残っている。
/760ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1270人が本棚に入れています
本棚に追加