第1章 10月

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「幸多~お帰り~」 私はあくびを押さえながらリビングに入った。 「あ、うん」 既に食卓では、3人とも食べ始めていた。 「あれ?上にぎり?」 「そうよ~、大奮発」 「何で?」 「あなたの解雇祝い」 「わお、うれしいね~」 私は割箸をパキンと割った。 「ちょっと待て」 「なに?幸多」 「今のカイコ祝いの『カイコ』って何?」 「ああ、会社をクビになったの」 「ちょっと、待てえぇえ!!」 「ん?」 「姉貴、会社をクビになったのか?」 「だから、そう言ってるじゃない」 私はまずは右端の玉子から口に入れた。
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