第1章 10月

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翌日は昼前まで寝てしまった。 母も特に起こしに来なかった。 我が家はある意味自主性を重んじる家風。 言い換えれば……いい加減…… だから、つい呟く。 「ま、いっか」 そして、誰も見てないのにセミロングの髪を後ろに流しながら頷いた。 私はもうすっかり陽が高くなった窓の外を見ながら、アロマプレートにグレープフルーツのアロマを一滴垂らした。 目の前の家のベランダに干された洗濯物がゆっくりと揺れていた。 そこに穏やかな風を感じた。
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