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「叶多さん」
「はい?」
「今日はありがとうございます」
「ううん。私もここで演れて嬉しいんだ」
「そう言っていただけると安心します」
「ん?無理やり頼んだ気になってた?」
「まあ、それは。だって一回対バンしただけですよ?」
「あ、そっか」
私は大袈裟に口を開けて手を当てた。
智亜美さんがクスッと笑った。
そして、優しい表情で、
「さすが叶多さん」
と、言った。
彼女にも思いは伝わっている。
だからこそ、私は彼女を気に入ったんだと思う。
「もう、それはやめて」
私はまた、大袈裟に口を尖らせた。
それにつられて彼女はけらけらと笑った。
私も。
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