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開場して、お客が入って来たので、私達は物販席に移動した。
最初のベイムがステージに出てきた。
まずは渚さんが真ん中に立って、美穂さんがキーボードの前に座った。
渚さんはふわふわの茶髪で、美穂さんは黒髪。
着てる服も違うセンスだけど、二人がペアだというのがわかるのは不思議だった。
美穂さんがキーボードを弾き始めて、渚さんの歌声が響き始めた。
澄んでいるけどコクのある声。
部分部分で美穂さんがハモりを入れる。
美穂さんも澄んでるけど、渚さんよりさらりとして、高音域系。
ハモり過ぎず、適度な二人のハーモニーが心地良い。
2曲演ったところで、二人は交代。
「じゃあ、私は楽屋に入ってますね」
智亜美さんが言った。
「うん、美穂さんのも聴いたらすぐ行くね」
「はい」
智亜美さんは音を立てない様に椅子を引くと、そっと出て行った。
玉江さんが私と彼女の間の席をチラッと見たけど、そのままテーブルに頬杖付いてステージを見ていた。
そんな彼女の気持ちも何となくわかる。
まだそこには「智亜美さんがいる」から、こっちに詰めたりしない。
今日は彼女も身内なのだ。
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