第1章 10月

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しばらく緩い坂を上って行くと、ふと、左に延びる道が気になった。 いつもはまっすぐ公園まで行くから、気にも留めなかった。 ちょっと先で少し左に曲がっているから、その先に何があるかわからない。 多分、住宅だけだよね…… そう思ってみたけど、今日はそっちへ曲がってみた。 同じ様に緩い坂が、突き当たりを左に曲がった後、今度は少し丘の形をなぞるようにやっぱり緩く右へ曲がりながら続いていく。 右も左も住宅が続いているが、左側の家の間からは、坂と同じ景色が見える。 上の方を見ると、住宅の屋根の向こう、緩やかな丘の頂上にあの木が見える。 私は、またゆっくりと歩き始めた。
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