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「おはようございます、お嬢」
ふかふかお布団に包まれて、柔らかな微睡みを遮ったのはドスの効いた重低音。
聞き覚えのあるその声に、あぁもう朝かと意識が覚醒しだす。
まだやや眠かったが、体を起こして取り敢えず声の主に返事する。
バキィッ!!
拳で。
「お、おしょうなふを!?」
(お、お嬢!何を!?)
「お早う、緑(ミドリ)。良い朝だね。」
良い感じにヒットして、ちょっと違う方角を向いた鼻を必死に押さえる緑は、涙声で抗議してくる。
「お早う♪じゃないっス!何するんスか!?鼻曲がっちゃいましたよ!!」
「良かったね」
「笑顔だし!?…何で殴るんスかぁ。俺何もしてないじゃないスかぁ」
今にも泣き出しそうな緑に、ため息一つついて答えてあげる。
ドガシッ!?
蹴りで。
「お、お嬢ぉ!!!」
「…それ」
「?…どれ?」
げしっ!!
再度足蹴にすると「ぎゅべっ」っと何の音かよく解らない効果音がした。
「お嬢っての……やめてくれないかな?嫌なんだけど?」
「……」
お願いしてみるが返事がない。うつ伏せになっている緑の顔を覗き込んで見ると、意識を手放していた。
あ、何か実が出てる…。
「……」
まぁいいか。
意識を取り戻しそうにない緑の首根っこを掴み、廊下に引きずり出してから着替えを開始した。
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