孤独な魂、温もり求め。

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「恩には報いる必用がある。そこで俺は回復した後、恩返しした」 「恩返し?」 「あぁ。毎日山で獲れた新鮮な食材を届けたのだ」 ……なんか、そういう昔話あったな。でも食費うくから助かるなぁ。 「しかし…断られた。このような真似はしないで欲しいと…。恩を笠に着ない素晴らしい人間性だ」 「まぁ、確かに。人助けして相手が無事ならそれで良いってのは、本当に優しい人だからなんでしょうね」 「解ってくれるか?」 「はい。でもそれだけ優しい近藤さんはきっと斎藤さんの恩義を断るのも心を痛めたんでしょうね」 「……だろうな。手紙であったから解らんが」 「手紙?」 「あぁ。届けた食材の上に添えられていたのだ」 ん? 「直に断られたんじゃないんですか?」 「いや、手紙だ」 あれ? 「近藤さんは食材届けてるのが斎藤さんだってことは知ってるんですよね?」 「その様な押し付けがましい真似は恩義とは言わない」 をい? 「…ちなみに、どんな食材持っていったんですか?」 「兎や猪、たまに鳥などだ」 …………。 私は深呼吸ひとつして、斎藤さんに現実を突き付けることにした。
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