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「お、今帰りかよ？遅かっ……何かあったのか？」
馬を引き連れて屯所に戻ると、一足先に戻っていた新八さんが向かえてくれた。困惑顔で。
「…別に。何か変か？」
「いや…変も何も、首から上がさっきと随分変わってるだろ!?強者にでもやられたのか？」
本気で心配してくる新八さん。しかしその兄貴肌的な優しさは今の斎藤さんには逆効果だ。
少し声のトーンを落として言う。
「…あぁ、猪にやられた。最近の猪は回し蹴りが得意らしい…」
誰が猪だよ…。
声には出さず、軽く睨んでみるが斎藤さんはそっぽを向いて知らん顔しやがる。
対して新八さんはまだ不思議そうな顔を崩さない。
「猪て…じゃあその髪もやられたのか？」
「…？」
新八さんの言葉に、斎藤さんは自分の頭を触って目を見開いた。
長い黒髪を一つに束ねていたはずなのに、無いのだ。髪が。
だから今はとても短い髪を無理してくくってる様な感じになっている。
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