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「何か用か?」
今は深夜。日課の愛刀磨きをしていると、感じる気配。
殺気の無さと居場所から、それが誰なのかに気付いて声をかける。
「ほんまに斎藤はんは気配に敏感やなぁ」
ガラッ。
押し入れから出てくる山崎さん。
……さっき戻ってきたところだが、一体いつから居たんだ?
しかも何故押し入れ?
相変わらず行動の読めない人だ。
思いながら山崎さんの言葉を待つ。と、普段はおどおどするかふにゃふにゃ笑っている表情が、珍しく引き締められていた。
「斎藤はん、何で真子ちゃんに言わんかったん?」
「……」
「クナイ…確かに斎藤はんに投げられたけど、真子ちゃんも狙われてたんやろ?俺等はともかく真子ちゃんまで、敵さんに暗殺対象にされてんのに、何で連れてくんや?」
「…柊は女で、平隊士で、足手まといだが、新撰組隊士には違いない」
「…?」
「それに…恐らく敵の狙いは柊だ」
「!?」
「目的は解らん。だが俺に投げられたクナイとは違い、柊に投げられたモノには痺れ薬が塗られていた」
「敵さんは真子ちゃんを生け捕りたいんか?…だから連れてくんか?餌として?」
声は怒りと動揺を含んでいた。
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