黒を這う手、掴むモノ。

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「柊を利用する形にはなるが、それだけが全ての理由ではない」 「じゃあ何なんよ?」 「あいつも…探しているんだ、己の道を」 「……道」 「あぁ」 「…そういや、俺等にもそういう時期があったなぁ。ま、そういう事やったらええわ。全力で俺等が守ったればえぇ話やし」 「あぁ」 「よし、ほなそろそろ行きましょか!」 「来たのか!?」 「うん、さっき子飼いの猫達から連絡あってん。相手さんら、二次会らしくてえぇ感じに酔っとるよ♪」 「………そ、そうか」 満面の笑みの山崎さんに、なんとか俺は突っ込みを自制した。 正直、この人の言動の何処まで信用すればいいのか解らない。 真面目な顔で猫との交流など語られた日には、うっかり斬ってしまうかもしれない。 隊士同士の喧嘩は法度で禁じられている。 だから俺は、うっかり理性を飛ばさないようにするため、山崎さんには突っ込みを禁じている。 全ては理性を保つための予防策なのだ。
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