黒を這う手、掴むモノ。

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才色兼備。大和撫子。良妻賢母。 立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花 …など、良い女性を誉める言葉はたくさんある。 でも哀しいかな。 どれも今の私には当てはまらない。 そりゃそうだよね。私今男装してるもん。 遊郭への潜入捜査が決定し、一緒に行く許可を貰った。その許可と一緒に斎藤さんから渡されたモノは、何故か男物の着物、つまり着流しだった。 Why? 疑問いっぱいに斎藤さんを見てみると、真面目に答えてくれた。 「女役は山崎さんに任せておけ…」 戯言を。 斎藤さん? 女の子に向かって、女役は男に任せておけとか酷くないですか? 私では役不足かこんちくしょうめ!? …でも綺麗に着飾った山崎さんは、同性の目から見ても無茶苦茶可愛い。 あは、勝てる気がしないね☆ …いっそ女の子になっちゃえばいいのに。 そしたら私の気分的にも晴れやかだし、山崎さんの人生的にも良いんじゃないか? ……潰してあげるのは親切になるかな? 私がそんな事を考えながらお酌をしていると、いつの間にやら事態は進展を見せていた。
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