黒を這う手、掴むモノ。

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「…壬生狼といわれる親玉だけあって…いやはや、近藤という男はまさしく獣道を地で行く男でね…」 「獣道…?」 「あぁ。たかだか百姓風情が武士を目指し…あまつさえ今では手柄を得るのに必死にこの京を這いずり回っておる。不様なこ…」 ガタンッ!! 「……どうかしたか、坊主?」 「……………すみません、トイ…厠に行ってきます」 何あれ何あれ何あれ何あれ何あれ!? 何で敵ってだけで近藤さんがあそこまで言われなきゃなんないの? 近藤さんの何を知ってるってのさ? あああああああああああああっ!!腹立つ! 座敷を出た後。私は客の入っていない空き部屋に侵入し、独り地団駄を踏んでいた。 あの場で発狂しなかったのは褒め称えてもらいたいくらいだ。 さすがにちょっと、出て来る時顔に出てたかもしんないけど。 …山崎さん、ごめんなさい。でもあの場にはあれ以上居続けられなかったんだもん。 絶対手か口が出てた。 うん。良く堪えた自分!!えらい!! 一人反省会&励まし会を開催していると、不意に部屋が暗くなった。
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