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「……ちなみに……老師。邪魔とは一体……?」
……ほほう?ショックを受けながらも、ワシに質問してくるとは……さすがは法皇。と、言ったところか。
「そうじゃな。…………天界・人間界の神共に、通達と言うのはどうじゃ?法皇が春神と、一緒にいるのを目撃した者は、ワシに知らせる……とかな?邪魔に関しては、薬嗣に他の相手を見つけてやろうか?薬嗣は、私系の顔が好きな様だし。……なんなら、私の愛人にでもしようか?宗?」
「……冗談じゃありませんっ!!私は、あの方の為に今、この場所に存在してるいるんですっ!貴方が相手でも、絶対にこのポジションは譲る気はありませんっ!!」
『ろうし!やくつぐさま、いじめないでくださいっ!やくつぐさま、いじめるひとは、わたしがゆるしませんっ!!』
………頭の中に昔、私に食って掛かってきた、子供の記憶が蘇る。あの時は、ちょっとした事で、薬嗣を泣かせてしまい、それを見ていた宗が、私に噛み付いてきた。舌足らずな言葉使いで、私の前に小さな体で、薬嗣を背に庇いながら、一緒懸命、守ろうとしていたな?………今では、私を見下げる(狸の姿の場合だがな。)ぐらい、大きくなって……。
「坊。そう思うなら、今日みたいに、小僧の弱みに付け込む様な真似は止めておけ。正正堂堂、小僧が、お前を受け入れた時、私は必ずお前達を祝福してやる。たとえ、三帝の反対にあっても、ワシはお前達を認めてやる。良いな。それを肝に命じておけ。」
ワシは、ピシャリと坊に言い放った。
「……はい。老師、一つお聞きします。……前々から、感じていたのですが、老師にとって、教授は一体どんな存在なんですか?」
「そうじゃな。お前に取って小僧が特別な様に、ワシに取っても、別の意味で特別な存在なんじゃ………。まあ、今はこれ以上は、語らんぞ?それよりも、早く、屋敷の中に入ったらどうじゃ?小僧は酔うと、脱ぎ魔になるんじゃなかったのか?」
「!!!そうでしたっ!老師っ!失礼しますっ!!」
坊は頭を下げて、足早に屋敷の中に入って行った。
「薬嗣は、私がこの姿でいる、本当の理由なんだよ。宗。」
ワシはそれだけを言うと、庭の外れにある庵に向かって歩きだした。
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