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山の間のくぼ地に広がる草原で、
岩に身をもたせかけて身動きもせず、
死んだように永遠に眠っている、
絵のように美しい青年の側へ、
女神は毎夜月光と共に訪れるのでした。
青年の穏やかな寝息や胸の鼓動に耳をすまし、やわらかい黒髪に触れては女神は満足そうに一晩中座っていました。
けれども、一言も口をきかず、女神の愛に応える事のない恋人の側で、女神は愛する事の切なさ苦しさに何度も溜め息をつきました。
そんな時、銀の月光は姿を消し、山々や草原は黒一色の暗闇に包まれてしまいます。
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