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「ん…」
朝日が眩しい。その朝日に急かされるようにして、私は重い瞼をあけた。
「……ここは…」
私の家ではない。家どころか、国でもない。アンティーク調のクローゼットに、同じくアンティーク調のテーブルの上には上等そうなキルト。
ここは……
「イギリスさんの家だ…」
そうだ…日本さんに言付けを頼まれてイギリスさん家にきて、
「それから…何故かまたイギリスさん家にいたアメリカさんに勧められてお酒を…」
思い出すと、急に頭が痛くなってきた。
…二日酔い…か?しまった…!!
とりあえず、着替えよう。私―佐倉茉亜理は、イギリスさんが端正こめて縫ったらしい豪華な刺繍のパジャマを脱ぎ始めた。
私、佐倉茉亜理(さくらまあり)は、日本さん直属の部下である。というか、正確には召しつかいに近い。
元々我が佐倉家(昔は櫻家と書いたらしい)はどういうわけか太古の昔から日本さんに仕えていて、―その形こそ昔の封建制度ほど厳しいものではなくなったが―、末裔である私も部下という形で日本さんに仕えているのだ。
そんなわけで、国々が具体化していることを知っている数少ない人間の一人である。
また、日本さんの仕事を手伝っているおかげで、イギリスさんやアメリカさんなどたくさんの人(?)々と知り合うことができた。
…まあ、それがプラスとは限らないけど…
「ま…まー…り…」
ほら、イギリスさんの呻き声が聞こえる。
「…ろくなことがなきゃいいんだけど」
と言いつつ嫌な予感がした私は、着替えを急いだ。
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