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ゾグリ、と。
明らかに異質なモノを、感じた。
「下手したら、明日学校にいけねぇかも……」
どころか、家に帰れない可能性だって無きにしも有らず。
走る。逃げるように。
駆ける。惑わず、冷静に。
ゴウッと、後ろで大地が爆ぜる音。直後、
「ッッッ!!」
衝撃で体が宙に投げ出される。
「づッ、クソ、冗談じゃねぇ!!」
言う間に、空から幾本もの炎の槍がせまる。
「な……」
避ける時間がない。
体勢を立て直す隙(ひま)すらない。
鞄の中から漆黒のナイフを取り出し、炎に振り当てる。
ギィン、と響くは金属音。
「……熱くない!?」
と、いうことは、象徴(イメージ)としての炎であり、物質(カタチ)としては、何か、棒状の金属物質。
……なのだろうか?
「クソ、厳しい厳しい厳しい。マズイぞこりゃ」
さてしかし、別段俺は自殺願望者ではない。
やれるまでは、キッチリと『俺』をやり通す。
そう、決意と言う程大層な物でもない事を心に決めた時。
商店街を通り抜けた先、坂の上から声がかかった。
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