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「くぁ……眠い」
三日連続、二時間睡眠。
やばい、これの効果は絶大だ。
「頑張る。…………言うだけで嫌になる」
めんどー、とか思いながら少女を睨み、
「帰っていいか?」
「駄目よ」
駄目もとだから良いのですが。
「見たいアニメがたまってるんだが」
「死ねば、見る必要も失くなるでしょう」
素晴らしきかな無神信者。
「死後の極楽浄土に百型ぐらいのでかいテレビがあるかもしれねぇだろが」
「夢が持てて良かったわね。……死後にあるのは無だけよ」
それこそが最たる幸せ、自身にとっての極楽浄土であるかのように、少女は呟く。
「地獄は?」
「此の世」
同意見。
思わず、暗い笑みが零れる。
と、少女が苛立ちを表すように、ズッ、と地を刀で刺した。
「何なの、お前。焦りを見せず、余裕さえ見せて。気に障るわ」
少女の眼から、光が消えた――否、光しかなくなった。
一瞬、その眼に飲まれそうになる。
何よりも妖しく不可思議で、――恐ろしかったから。
しかし、少女がいきなり苦しそうに顔をしかめた。
そして地を擦るような足運びで俺の前、否――、
「っ」
後ろへ移動し、洋刀で俺を薙がんとする。
それを避けるのは容易、しかし薙ぎの下から日本刀の突きがせまる。薙ぎを後ろへ、突きを右へ避けると、
「クッソ……」
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