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既に洋刀の振り返しがきていた。
日本刀の払いを防ぐために右へ避けたのだが、これでは全く意味がない。
――それにしても、近くから見ると本当に美しい双剣だ。
左手には洋剣。
流れるような刃の線、邪魔にならないよう嵌められたサファイア。
思わず、サファイアの蒼に血液の紅が流れるところを、一瞬、想起する――
「……」
不利な状況でこんな事を考えるのは、あまりに愚かな事かもしれない。
――そして右手。
一言で言えば、“シンプルイズベスト”で終わる、左手の洋刀よりも長い、細身の美しい日本刀。
先程、ズッ、と易々とアスファルトを貫いたことを考えると、切れ味はスパスパらしい。
飾り物にして置けばかなり映えるかもしれないが、斬る刀としての異質な光が、人を落ち着かない気分にさせそうだからやっぱだめかも――
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