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朝、学校。
姿勢の良いメガネちゃんが、軽く右手を挙げて挨拶をしてきた。
「おはよう、鎬(しのぎ)君」
「ん、ああ、おはよう委員長」
学年が上がって一ヶ月半ほどが過ぎた、五月中頃。
最近暑い日が続いているため、六月前にあったらしい〈衣替え週間〉が、一、二週間早まった……らしい。
そのため、俺や委員長に限らず、殆どの生徒が夏服である。
「相変わらず、暑いな。地球温暖化か?」
「言い方が中学一年生みたいよ、鎬君。それにしても、本当にね。嫌になるくらい、暑い日が続いてる」
馬鹿にしたような……とは違う、呆れと、同調の意を示す声色で言われる。
それにしてもツッコミが早い。
……やっぱり馬鹿にされているんだろうか?
「この調子で十月くらいまでぶっ通すんだろうかね? めんどくせぇなぁ……くぁ。……眠ぃ、寝るー……。ぉやすみ」
「また夜中までネットゲームしてたの? 体とか、いろいろに良くないと思うよ」
机に突っ伏しているために表情は確認できないが、先程より、声に呆れの色が強くなった。
「理解はしてる。でも、直せなぃ……」
「……はぁ、おやすみ」
知ってるか、委員長。
ため息つくたび、幸せが一つ逃げてくらしいぞ。
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