43人が本棚に入れています
本棚に追加
/90ページ
時は過ぎ、現在放課後。
「くぁ、眠い。睡眠不足だ……」
「結局、何をしてたの?」
睡眠不足の方に突っ込みは入れてくれないのか、とか思ったり。
「小説書き」
「へぇぇ……」
何だその“物凄ク意外ナノデスガ”みたいな声は。
「だって、鎬君って結果としてできあがったモノをみる、って事しかやりそうにないんだもの。文字通りに“結果が全て”っていうか」
……確かに、そう思われる節に心当たりが無くもないが。
「全てが結果なんだ。やりたい事ぐらいあるし、やり遂げる気力ぐらいある」
「意外と、ん~……、そう、人間なのね」
言葉を選んでいるかのような間を取っておいて、出た言葉がそれかよ……。
「……失礼な。礼を失してないか?」
委員長から見ると、俺はどんな人間なんだろうね?
階段を降り、脱靴場へ。
「そうね……、ごめんなさい。何か書き上げたものはあるの?」
「三つ。今四つめ。平均三百五十ページぐらい。見せない」
「聞いてないのもあるよ?」
「聞くつもりだったろ?」
上靴を登校靴に履き替える。
「気になるもの」
「あ、そ」
俺の知ったことじゃねぇですよ、と肩の後ろで手を組んで呟く。
「頼んだら、読ませてくれるのかしら?」
いたずらっぽい目をして、如何にもな上目遣いで聞いてくる。
……やりにくい。
「見せねっつったろ」
最初のコメントを投稿しよう!