運命〈はぐるま〉噛み合い、運命〈ゼツボウとキボウ〉動き出す。

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――いい子ちゃんが好きではないと言ったが、委員長に限っては、むしろ逆に好感を持っている。あいつの言葉には嫌味が皆無と言っていいほど、籠められていないから。……ただ、少し苦手だが―― 委員長との帰り道が違ったことに、今日、心から感謝。 ――さて皆さん(主に俺とか俺とか俺とか)、ここで一つ質問があります―― 「ワタクシめは、何故ゆえに尾行(つけ)られているのでしょうか……?」 いつものクセか、気付けば独り言を呟いていた。 消しきれていない気配が感じ取れる。 しかし、その気配が巧く分散されていて、場所の特定ができない。 「俺、小技とか苦手なんだがな……」 さて、どこで仕掛けてくるか。何らかの偵察だけなら気張らなくていい。だが、攻撃的な気配――否、明確な殺気が分散のせいで前方位から感じられるので、気分的に痛い痛い。 「コード:GUN・グロッグ,KNIFE・DARKWOLF,127」 相変わらず、長いかつ素直なコードだ。 ……まあ、自分でつけたのだが。 とにかく、――もう念のためといえないが――臨戦態勢にはいる。 ぎぃ、と。 浮かせて嵌めている鞄の底板の向きが変わる音がする。 「ああ、面倒だ……」 妙に、人通りが少ない。 横を見ず、考える。 ――店が開いているのに、人が見えないというのは、どういうことだ?―― ちょうど、商店街のちょっとした門を通り過ぎたところだろうか。 .
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