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「…直接、神殿にいるアイオーンから結城美加さんを取り戻すことはできないのです」
沈黙していたヴィーナスがようやく重い口を開いた。
「ど、どうしてだよ!女神様なんだろ、特別な力か何かで一気にズバッと…」
「そんなことをしたら、あっという間にお話が終わって…、いえいえ、そうではなくて」
…どうも、この女神様、さっきから胡散臭いなぁ…。
「時の神殿内はアイオーンの絶対支配権にあって、私の力は及ばないのです。時の世界の入り口なら、あなたを送ることができるのですが…」
「そんな…ヴィーナスに無理だとしたら、美加ちゃんはどうなってしまうんだ!?」
「たったひとつだけ、方法があります」
「その方法を教えてくれ!」
「『三種の神器』の力を借りるのです」
「『三種の神器』?…単なる思いつきじゃないだろうね」
「あ、愛と美の女神は、思いつきでものを言ったりしません!! …本来ならば、アイオーンの言うとおり、契約を解除することはできません。しかし、『三種の神器』を全て揃えれば、時を自由に操ることができるのです。…つまり、その神器を使えば、あなたがアイオーンとの契約呪文を唱える前の時間に、時を逆戻りさせることが可能なのです」
「…わかった。その『三種の神器』を手に入れればいいんだな?」
「しかし、『三種の神器』を全て手に入れるのは困難でしょう。神器は全て、愛と典雅の女神『カリス』と呼ばれる者たちによって封印されていますから」
「『愛と典雅の女神カリス』?おいおい、また女神かよ」
「そうです。『三種の神器』はひとつずつ、3人の『カリス』の中に封印されているのです」
「そのカリスたちは今どこにいるんだい?まさか、また適当な言葉でポーンと召喚できるとか?」
「…いいえ、それがちょっと厄介なところに…」
ヴィーナスの表情がまた曇り初めた。
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